かたるべの森美術館(当麻町)で長年、障がい者たちの創作アドバイザーとして携わってきた菊地雅子さんが『北のボーダレスアート』(ミツイパブリッシング出版)を十月に出版します。

 道新で四年間にわたり連載していた「アールブリュットの魅力」を書籍化するもので、連載で紹介した四十五人の作家と作品に加え、菊地さんを含む三人による鼎談二本と対談一本、アート活動を行っている福祉施設の取材記事で構成しています。

 本の出版に当たり、九月三十日(月)までクラウドファンディングで協力を募っています。

 菊地さんは本出版の目的を「出版を通じて、障がい者アートのもつ力をもっと多くの方に知ってほしい。そして、障がいのある方々の創作の場をさらに充実させていきたい」と語っています。

 障がい者のアートについて、菊地さんは「彼らの中には『こうでなければならない』がないんです。まず、つくりたい、描きたい、何とかしたい、しかない」「彼らに共通しているのは、ただひとつ。自分から出てきたものを、湧き出してきたものを表現しています」と語り、「彼らのアートって、世に出ないことも多いし、才能が埋もれてしまうことも多いんです。そして彼らの工賃はびっくりするくらい安い。だから彼らのアートに価値をプラスして、工賃アップにつなげるというのも、ねらいです。私は、今回の出版は“種まき”だと思っています。種をまいておけば、本を手にした人のアクションが、それぞれのところで発芽するんじゃないかと」と胸の内を話しています。

 クラウドファンディングのウェブページは、https://motion-gallery.net/projects/borderless_art