朝鮮の詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ、一九一七―一九四五)の詩の朗読と音楽の集い「詩人 尹東柱とわたしたち」が十日、サン・アザレアホール(六ノ四勤労者福祉会館)で行われた。詩誌「フラジャイル」(柴田望代表)と和寧文化社(東大阪市)の共催。

 尹東柱は、中華民国時代の満州出身の朝鮮人の詩人。日本に留学中の一九四三年に独立運動容疑で逮捕され、福岡刑務所で原因不明の死因で獄死した。二十七歳だった。日本の併合下にあった民族の悲哀を叙情詩にうたった、詩集『空と風と星と詩』がある。韓国の国民的詩人。

 二十人が参加した集いは、二部構成。第一部では『尹東柱評伝』(宋友恵著、愛沢革訳・二〇〇九年)の出版記念会の記録映像を上映し、和寧文化社を経営する詩人の丁章(チョンヂャン)さんが「『尹東柱とわたしたち』のこれまで」と題して、尹東柱と日本との関係、尹東柱の生地の中国東北部の延辺の朝鮮族自治区の人たちとの交流などを話した。

 第二部では、丁章さんやフラジャイルに集う詩人が、尹東柱の詩や自作詩を朗読。セシリアぬえさんがピアノの弾き語りで「アリラン」など「尹東柱に捧ぐ歌」を披露して拍手を浴びた。(工藤稔)