「ASAHIKAWA DESIGN WEEK(あさひかわデザインウィーク・ADW)2024」が、十五日(土)からスタートする。あさひかわデザインウィーク組織委員会(渡辺直行会長)の主催。

 ADWはものづくりのまち・旭川を国内外にPRする目的で二〇一五年に始まった。一九年、旭川市がユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定され、家具・クラフトに加え、建築、機械金属、食・観光などの地場産業、デザイン関連団体、近隣自治体、教育・研究機関などが参加し、デザインスピリットを共有・発信する場として、大切な役割を担ってきた。

 今年は「Life with.」をテーマに、二十三日(日)までの九日間、開催される。

北彩都ガーデンで
食がテーマの「あさいち」

 今年の注目は、十五、十六日の二日間、北彩都ガーデン(宮前二ノ一)で開催される、「食」をテーマにしたイベント「あさいち」。

 市は今年度から、石川俊祐CDP(チーフデザインプロデューサー)を中心に「フードフォレストあさひかわ」構想を本格始動。その一環で、全道一の収穫量を誇るコメや、朝もぎの新鮮な野菜など、他都市での取り組み事例が少ないことから、「朝のあさひかわ」プロジェクトが進められている。

 この「朝のあさひかわ」の実証実験を兼ねた取り組みとして、今回「あさいち」が企画された。二日間で三十二社が、同ガーデン周辺にブースを構え、購入した商品は、鏡池沿いの散策路に設置されるロングテーブルなどで食べられる。気持ちの良い自然の中、来場者がテーブルを囲んで時間を過ごすことで、“豊かな朝”を共有できるという。

 会場では飲食のほか、木製のキッチン道具やカトラリー、生花、絵本なども販売される。

 時間は両日ともに、午前七時から正午まで。

生物学者の福岡さんが講演
IFDAも同時開催

 十八日(火)午後六時から、市公会堂(常磐公園)で「ADW基調講演」が行われる。

 講師は、生物学者で作家の福岡伸一さん。福岡さんは一九五九年、東京生まれ。京都大学卒、同大学院博士課程修了。ハーバード大学研修員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学教授や、米・ロックフェラー大学客員教授を務める。サントリー学芸賞を受賞し、八十八万部を超えるロングセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)や、『動的平衡』シリーズ(木楽舎)など、「生命とは何か」を動的平衡論から問い直した著作を数多く発表している。

 ベストセラー著者の福岡さんが、自然の不思議さが創造力の源となる生命の本質について語る。

 講演は事前申し込み制で、参加無料。定員は六百人。申し込みは十七日(月)までに、専用サイト(https://adw0618.peatix.com/)から。
 また、今年は「国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)」(十九~二十三日)が同時開催される。一九九〇年から三年に一度開かれ、今回で十二回目。

 十八日に、三十八の国・地域、六百五十五点の応募の中から選ばれた十五作品を対象に最終審査が行われ、翌十九日午後三時から開かれる表彰式で審査結果が発表される。

 旭川デザインセンター(永山二ノ十)ではIFDAの開催に合わせて、十九日~九月二十九日(日)まで、今年の入賞入選作品十五点が展示される。

「人間や自然の本質打ち出すイベントに」

 渡辺会長は「今年のテーマにある『Life』は、暮らしという意味もありますが、私は“命”の意味で解釈しています。デザインには人工的なイメージがありますが、よく考えると、なにかプロダクトをつくる時も、生物や鉱物など自然の資源を使っているので、実は自然との関りでもあります。「食」や「命」をキーワードに、人間や自然の本質的な部分を打ち出したデザインイベントは、都会で実現するのは難しいでしょう。このテーマで、地方都市である旭川を中心とした道北エリアで開催する意味は大きいと思っています」と語る。

 期間中に開催される各種イベントの情報は、公式サイト(https://adwhokkaido.com/)などで確認できる。

 問い合わせは事務局(TEL 74―3355)へ。(東寛樹)