風土に根ざした
音楽を追求
大雪クリスタルホール開館三十周年を記念する「マインド・ジャズ・コンサート2023」が十一月三日(金)、音楽堂で行われる。同ホールは音楽堂のほか博物館、国際会議場を有する複合施設として一九九三年に建設された。
中でも、音楽堂は市民団体「ぬくもりホールの会」(村田和子代表)を中核にした市民運動が結実したもので、全国的に例がなく、その音楽性は国内外ミュージシャンから、高い評価を受けている。
マインド・ジャズは旭川在住の作編曲家・シンセサイザー演奏家の佐々木義生さんが一九八三年から始めた。ジャズのツールをベースにしながら、風土に根ざした音楽を追求し、世界中のさまざまな民族や文化の紹介をしてきた。その活動の拠点となったのが、「ホールが豊かな人を作り、豊かな人が街を作り、豊かな街が社会を作る」という理念のもとに作られた、音楽堂だった。
佐々木さんは九五年から二〇一五年まで行われた、ジャズ教育音楽祭「ジャズマンス・イン・旭川」で音楽監督・作編曲家として中心的な役割を果たしてきた。ジャズマンス活動はコンサートの開催だけにとどまらず、「JMIAジュニア・ジャズオーケストラ」の結成や「自閉症児のための音楽教室」を開いたり、「アジアンキッズ・ジャズコンファレンス」を通じてアジア地域との交流などを行ってきた。
クリスタルホール二十周年記念事業に「若者のための音楽祭・カムイクリエイティブミーティング」を行い、「アジアンジュニア・ブラスジャズ」の創作など、多岐にわたりジャズ音楽の可能性を市民に紹介してきた。
日本を代表する
演奏家がそろう
佐々木さんは一八年から音楽の可能性をさらに深め、音楽の源流を遡る「アジアンジャズ」の創作を行っている。創作した、アジアンジャズ「アジアへの道」は五部作で、アフロユーラシア大陸の文化やオホーツク文化を作った古代海洋民族・モヨロ、南方アジア、ヨーロッパ古代ケルト民族、ロシア北方地域の先住民族ニブフ(ギリヤーク)をテーマにした五十曲。
今回の三十周年記念事業では、この中から十七曲を選曲し、演奏する。長年佐々木さんと交流があり、日本を代表する演奏家がそろった。佐々木さんのほか、金子マレー飛鳥(バイオリン)を核としたAskaストリングカルテット、ウーゴ・ファトルーソ(ピアノ、キーボード)、フェビアン・レザ・パネ(ピアノ)、ヤヒロ・トモヒロ(パーカッション)、山木秀夫(ドラムス)、近藤和彦(フルート、サックス)ら十四人。
「序章が終わり、これからが本章」
佐々木さんは「この地で、独自の音楽ジャンル、マインドジャズの創作活動を始めてから四十年になりました。クリスタルホール三十周年記念は、同時に私のマインドジャズ四十周年集大成の年でもあります。このコンサートで、音楽堂の優れた音響を余すことなく聴衆に理解していただけるものと思います。これまで暗闇の中を細い道を付けながら、手探りで四十年間歩んできました。でも、序章が終わっただけで、これからが本章だと考えています。細く続く道を踏み固め、灯を点し、次世代の若者たちが続いてこられるようにするのが、これからの仕事になります。また音楽堂の未来に向け、その意義を市民に訴えていかなくてはなりません」と話す。
チケット料金は、前売り五千円、学生・ハートフル三千円(全席自由・当日五百円増)。チケットは、ジュンク堂書店旭川店(TEL 26―1120)、コーチャンフォー旭川店ミュージックコーナー(TEL 76―4002)、玉光堂イオンモール旭川駅前店(TEL 73―8801)、冨貴堂末広店TEL 59―2800)、冨貴堂豊岡店(TEL 34―7777)、大雪クリスタルホール売店(TEL 63―2929)で販売する。
コンサートの問い合わせは、同実行委員会・村田さん(TEL 22―3567、080―5581―3567)へ。(佐久間和久)