中学生がものづくりを通じて三日間の職業体験をする「ものづくりウインターキャンプ」が六日から八日まで、市工業技術センター(工業団地三ノ二)で行われた。東旭川公民館と同センターの共催。
就業しても仕事が続かない若者が増えている状況を改善しようとする「キャリア教育」の一環。一日だけでなく、長期休暇を利用して数日間行おうと、一昨年から冬休み中に開催されている。今年は桜岡中学校の生徒五人が参加し、金属板を加工するブックスタンド作りを体験した。
生徒たちはセンター職員の指導のもと、初日と二日目に設計用のコンピューターソフト「CAD(キャド)」を使って図面を製図した。二日目の後半から三日目にかけて、図面をレーザー加工機に入力して金属板を切り抜き、研磨・塗装など表面加工をして折り曲げ、ブックスタンドを完成させた。このほか、センター内にあるクレーンの操作、3Dプリンターの出力体験も行った。
参加した一人、桜岡中学校二年の棟方愛士(むなかた・あきと)君は「設計から製作までの一連の作業は今まで一度も経験したことがなく、とても貴重な体験をさせていただきました。実際に完成した自分の作品を見て、本当に自分が作ったんだなぁと改めて思いました。とても楽しかったです」と話していた。
キャンプを企画したキャリア教育コーディネーターの佐藤彰良さん(48・桜岡中学校教諭)は「こうしたキャリア教育によって、将来の職業観を得ることが出来るほか、旭川が家具のまちであることや工業団地にたくさんのものづくりの会社があると分かるなど、地元を知ることにも繋がる利点があります」と説明する。
佐藤さんは、旭川はキャリア教育の普及が遅れているとして、「兵庫、富山、広島はキャリア教育の先進自治体と言われていて、職場体験も五日間行っています。社会人から働くことの大変さを学ぶと、その後は勉強への取り組み方も向上するという変化が見られています」と話していた。