「秋田の子供はなぜ塾に行かずに成績がいいのか」(講談社)の著書で知られる浦野弘・秋田大学教授の講演会が三日、旭川グランドホテルで開かれた。旭川地域生涯学習インストラクターの会(田上唯勝会長)の主催。

 一九六四年(昭和五十九年)に行われた全国学力調査で、秋田県は全国平均に達していなかったが、〇七年(平成十九年)には小中学校ともに全国トッ プクラスとなった。その原因について浦野さんは「学校の授業に集中する、家で予習復習をしっかりする、早寝早起き、毎日朝食を食べるなど、かつての日本で は当たり前だった学習・生活の環境が全国的に失われた一方、秋田県では変わらなかったこと」と説明。「秋田が伸びたというよりは、他が落ちていった」と話 した。

 また浦野さんは、家庭での学習時間は最低、学年×十分間(小学校五年生なら五十分間)が必要として、夕食の準備中に食卓で宿題をさせることなどを勧めた。

 今は大学生となっている子どもたちを対象にかつて行った調査では、世界の国々の中で日本は、宿題や家の手伝いをする時間は最下位や下から二位なのに対し、テレビを見る時間は第一位だったという。

 浦野さんはこの結果を示しつつ、「こうした子たちがこれから日本を背負っていく。日本の将来が大変であることが如実に現れている」と危機感をあら わにした。また近年の日本はアメリカの状況に似て、下位の子たちの成績が一層下がっている状況もグラフで説明し、危うさを指摘していた。