第二十七回日本自費出版文化賞がこのほど発表された。自費出版に光を当て、著者の功績を讃えるとともに、自費出版の再評価、活性化を促進しようとする目的で、日本グラフィックサービス工業会が主催する。旭川では唯一、あいわプリント(渡辺辰美社長)が会員になっているそうだ。

 今回の対象は、二〇二三年十二月から二〇二四年三月末までに出版された、地域文化、個人誌、小説、エッセー、詩歌など七部門で募集が行われた。著者自らが出版し、応募するルールだ。なんと旭川からは三点が受賞する快挙となった。
 受賞したのは、『百年の探究―眞の自由と平和を思考し続けて』(菱谷良一著/菱谷良一自伝刊行委員会・あいわプリント発行)がシルバー特別賞、「大雪をあおいで『三年目のナナカマド』その後」(原田芳子著/すずき産地・今関印刷)が個人誌部門特別賞、そして『詩の檻はない~アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議~』(ソマイア・ラミシュ・柴田望著/バームダード〔亡命詩人の家〕・デザインエッグ発行)が詩歌部門で入選を果たした。

 自費出版ネットワークの顧問を務めるあいわプリントの渡辺社長は「自費出版は自分史に限らずジャンルが大きく広がり、出版社に縛られない自由な発想、自由な本作りが増えています。昨年はネットワークの全国大会を旭川市で開催したところであり、今年は市内から三人もの方が受賞されたことを大変嬉しく思います。おめでとうございます」と賛辞を贈る。まくらは、ここまで。

 ここからは解体工事が進んでいる旧旭川市庁舎、愛称赤レンガ庁舎について書く。東海大学名誉教授で、赤レンガ庁舎を活かしたシビックセンターを考える会代表、建築家の大矢二郎さんは、文化的、歴史的価値が高い旧旭川市庁舎の解体撤去差し止め請求を旭川地裁に提訴したが、市は七月から解体工事に着手。すでに低層階の一部は解体工事が進み、裁判の結果いかんにかかわらず、大矢さんらが求める建物の保存は絶望的になっている。そうした状況で、大矢さんは九月十一日、今津寛介市長に対して、かねてから問題になっている建物の柱や梁(はり)の内部の配筋の実態を検証するよう要望書を提出した。以下、要望書を引用しよう。

 ――(前略)裁判の中で、私が最も強く訴えているのは、市が二〇一六年六月に発見した旧総合庁舎の配筋工事の「変更図」について信頼性を有していないと判断、竣功当時に作成されたいわゆる「竣功図」だけが庁舎の構造を示す図面として唯一公式なものと結論付けたことの不当性です。当然ながら誤った「竣功図」に基づく一九九七年の耐震診断も間違いであることは明らかです。

 最大の争点である柱や梁の配筋状況の実態は解体作業の中で鉄筋や鉄骨が露出すれば検証が可能です。六十六年もの永きにわたり行政の拠点であり続けた建築物が実際にどのようなものであったかを知ることは学術的にも大変興味深いものがあり、市民にはそれを知る権利があります。(後略・引用終わり)

 として、大矢さんは①低層棟の柱と梁の鉄筋が露出した解体現場での検証、②高層棟の三階部分の柱と梁の鉄筋が露出した解体現場での検証、を求めた。

 しかし、間もなく総務部庁舎建設担当課から市長名で届いた「返答」は、現場は非常に危険なため、第三者は立ち入れない。また、圧砕機による工法で柱や梁の配筋状況を検証できるような状況にはならない、などの理由から「要望には応えられない」とのことだった。

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

(工藤 稔)

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