自民党総裁選の告示を報じる十三日付朝日新聞朝刊の社説は「自民総裁選告示 党再生 内実が問われる」の見出し。大新聞が選挙のただ中で候補の名前を上げて批判するのを初めて見た。記事の後段を引用しよう。
――(前略)各候補者は、これから実現をめざす政策のアピールに余念がないが、過去の言動もまた重要な判断材料となる。
例えば。高市早苗経済安全保障相が、放送法の解釈をめぐる総務省の行政文書を、当時の総務相でありながら「捏造(ねつぞう)」と断じ続け、公文書や行政に対する国民の信頼を損ねたことを忘れるわけにはいかない。(後略・引用終わり)
そして翌十四日付では、嵩にかかったように、「ファクトチェック」で、九月九日に行われた自民党総裁選立候補表明会見の選択的夫婦別姓の導入に慎重な立場の高市氏の発言を取り上げる。
高市早苗経済安全保障相「選択的夫婦別氏を実現するとおっしゃっていた候補予定者の中に、(旧姓では)不動産登記ができないと答えておられた方がいたが、不動産登記はできます。今年の四月から旧氏でできるようになっております」
朝日は「不正確」と断じ、「不動産登記は四月から、土地などの所有者の戸籍上の氏名に、旧姓を併記できるようになった。ただし、旧姓は「登記名義人の氏名を補足する事項」との位置づけで、旧姓のみでの登記はできない。たとえば『佐藤花子(鈴木花子)』といった具合に、旧姓はかっこ書きで表記される。不動産登記では、あくまで戸籍上の氏名が必要だ」と高市発言を「フェイク」とまではいかないが「ファクト(事実)ではない」との判定を下している。
政権政党の総裁、イコール総理大臣を選ぶ選挙の真っ最中である。日本の新聞は政治的な支持、不支持をぼやかす慣習がある。これほどはっきりと、「高市氏を首相にしてはいけない」という意志を表明するような記事は読んだ記憶がない。「おいおい朝日、大丈夫かぁ?」と思ったのだが、十七日付朝刊の一面の記事を読んで、膝をたたいた。「安倍氏、旧統一教会会長と面談か」の大見出し。このスクープを放つのを知っていたから、真っ向からの「高市批判」だったのだ。以下、記事のリードを引用しよう。
(工藤 稔)
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