地元の出版社ミツイパブリッシングが新刊を出した。『九月はもっとも残酷な月』。著者は、森達也。この名前、どこかで耳にした記憶はありませんか。ほら、あのオウム真理教に密着したドキュメンタリー映画『A』とその続編『A2』の監督ですよ。映画を観てもいないヤツらから、「これはオウムのPR映画だ」とか「監督はオウムを擁護している」とか、ものすごい批判を浴びた、あの監督である。一九五六年広島県生まれ。私よりも五歳若いが、ほぼ同世代だ。
ミツイパブリッシングのHPには次のようにある。
「映画『福田村事件』監督の最新時評集。関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を見つめ、ウクライナやガザに煩悶する。『<僕>や<私>の一人称が、<我々><国家>などの大きな主語に置き換わるとき、人は優しいままで限りなく残虐になれる』と著者は言う。映画公開前後の日々から独自の映像創作論、初めて福田村事件をとりあげた伝説のエッセー『ただこの事実を直視しよう』も収録。その他、入管法やイスラエル・パレスチナ問題、東アジア反日武装戦線など、時事ニュースの奥に潜む社会の核心に食らいつく」
こども冨貴堂で購入して、一気に読んだ。著者が同世代ということもあるのかも知れない、久しぶりに読み終わるのがもったいない、という感覚で読み切った。その面白さを私の駄文では表現できない。キャッチフレーズの中で“伝説のエッセー”とされている「ただこの事実を直視しよう」の一部を紹介してわかってもらおう。以下、部分的に引用する。
(工藤 稔)
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