大動脈瘤の三度の大きな手術から丸二年が過ぎた今夏、行動範囲が極端に狭くなった最近の筆者の楽しみは、家人と居間のテレビでDVDを観ること。ミステリー好きの家人の趣味で、アガサ・クリスティ原作の『名探偵ポアロ』や『ミス・マーブル』をストーリーを暗記するほど繰り返し観ている。近頃は、英国のテレビドラマ『刑事モース』に凝っている。舞台となる英国の街オックスフォードでは、次から次に殺人事件が起きる。「天皇陛下になる人が留学するような街で、こんなに殺人事件が起きて良いのかね」と言いたくなるほどの頻度で。まぁ、事件が起こらなければドラマは成立しないんだけどさ。
家人とそんな話をしながら、ふと沖縄を思う。米兵による度重なる暴行事件…。五日配信の琉球新報デジタルの記事を引用する。
――見出しは、「米兵、6月に女性に性的暴行の疑い 不同意性交致傷容疑で書類送致 沖縄」。以下、本文。
沖縄県内で六月、成人女性に性的暴行してけがを負わせたとして、県警は五日、二十代の米海兵隊員の男を不同意性交致傷容疑で那覇地検に書類送致した。県警は認否を明らかにしていない。
沖縄県内では六月、米兵による性的暴行事件が相次いで発覚した。
昨年十二月に発生した米空軍兵による少女誘拐暴行事件は県警や政府が県などに情報共有せず、今年六月二十五日に報道で明らかになった。五月には米海兵隊員による不同意性交致傷事件が起き、これが報道によって発覚したのは六月二十八日だった。米軍事案の公表態勢や犯罪防止が議論となる中、新たな性的暴行事件が明らかとなった。
県警は五日午前、事件概要を県に伝達した。県警が米軍関係者による非公表事件の情報を県に通知する運用開始後、初の伝達事例となった。
県警や関係者によると、事件は六月下旬の夜間に屋内で発生した。女性の治療をした医療関係者が通報した。海兵隊員と女性に面識はあったという。県警は現場周辺の防犯カメラ映像などの精査で海兵隊員による犯行の可能性が高まったと判断。県警は米軍側に協力要請し、米軍管理下にあった海兵隊員を任意で事情聴取した。身柄の引き渡しは求めていないとみられる。
六月下旬に相次いで発覚した米兵による不同意性交事件を巡り、政府や県警が被害者のプライバシー保護を理由に事件を公表せず、地元自治体に情報共有もしていなかった。
県などの強い反発を受けて県警は、公表していない米軍関係者による事件についても、逮捕や書類送致の段階で県に情報提供する運用を七月から始めた。(引用終わり)
振り返れば、二〇〇九年に民主党が自民党から政権を奪う直前のタイミングで、当時の民主党の鳩山由紀夫代表が、“世界で最も危険”と称される米軍・普天間飛行場(宜野湾市)の移設先について、「最低でも県外」と述べたが、その後、首相に就いた鳩山は、国内の移設先を決められなかった。外務省や防衛省の官僚らにもそっぽを向かれた鳩山首相は、マスコミからも「迷走」と袋叩きにあい、一〇年五月、当時の仲井真弘多・沖縄県知事と面会し「沖縄に負担をお願いしなければならない。県民におわび申し上げなければならない」と県外移設方針の撤回を表明せざるを得ない結果になった。
一六年初頭、私は沖縄に出かけた。そのときの記事の一部を。
(工藤 稔)
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