畑の片付けを始めた。雪が解け始めた四月から、楽しませてもらった。今年の野菜の出来は、トマト以外は例年に比べて今一つだったが、それでも二人暮らしの我が家の食卓にはあり余る収穫があった。来年のために、堆肥を入れたり、枯れた野菜の枝を切って埋めたりする作業がしばらく続く。

 と、頭の上から聞き慣れた鳴き声が降って来た。「カウ カウ カウ…」。「おとうさん、ほら」と家人が指差す先の空に、二十羽ほどのハクチョウの群れが南の方向に飛んで行く。しばし仕事の手を休め、小さくなって遠ざかるハクチョウの姿を眺めた。「そろそろニシン漬けの時期よね。ダイコンを干さなきゃ。今年、出来るかな…」と家人がつぶやく。

 懇意にさせていただいた、畏敬する先輩たちが次々に逝ってしまった今年も、あと二カ月と少しか。秋って、こんなに空気が冷たかったかな。今朝も社員に「この時期、こんなに寒かったっけ」と尋ねてしまいました。枕はここまで。

 北海道新幹線で人がドッと函館を中心とする道南地域に押し寄せる、観光客が来るぞ、大変な経済効果だぞ、などと受け取る側を浮き足立たせるような報道が続く。申し訳ないが、私は関心がない。その手の新聞記事もほとんどは読み飛ばす。自分でも、なぜそうなのか明確ではなかったのだが、三日付の朝日新聞「オピニオン北海道」を読んでその理由が分かった。はっきり、分かった。

 JR留萌線の留萌―増毛間(十六・七㌔)が二〇一六年秋には廃止される。慢性的な赤字が理由だそうだ。朝日の記事は、「今後、道内の他の路線でも廃止の動きが広がる見通しだ。廃線の流れはもう止められないのか」と問い、増毛町の酒蔵「国稀」の四代目・本間櫻さんと、関西大学経済学部教授の宇都宮浄人さんにインタビューしている。

 

(工藤 稔)

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