永山に住む男性の読者から、ファクスが届いた。住所と氏名を明らかにし、丁寧なあいさつの言葉のあとに、次のように書いている。

 ――(前略)この度、両陛下のパラオ共和国のご訪問が、強いご希望で実現されたことについて、密かに心に感じたことがあります。

 私は、一九三三(昭和八)年生まれ、幼年期に軍国主義教育を受けました。このとき、「日露戦争」「日清戦争」を戦ってきた「お爺さんたち」が、口々に「戦争は、勝っても負けても、だめだ」と呟いていたのが耳の底に残っています。今まさに、太平洋戦争の前夜と同じ様相であります。声なき声が「戦争は、だめだ」と叫んでいます。戦争を知らないお坊ちゃん宰相は、戦争ごっこをしてみたいのだろうか…?

 ペリリュー島戦没者慰霊碑の前での、鄭重な黙祷・拝礼を視聴しました。天皇陛下は、国政に「璽印」押しても、意見を述べれないもどかしさを態度・行動で表現したかったのではないかと、穿った思いに駆られました。御父君陛下の苦衷の決断を見ていた筈です。

 想いを上手に表現できない拙文で失礼ですが、同年齢の天皇陛下の心中を察するに、その苦衷を慮って発露いたしました。(後略)

 敗戦から七十年の今春、天皇、皇后両陛下が、ご高齢を押して、しかも巡視船に宿泊するという異例の条件の下、南洋群島を訪問されたのは、よほどのお気持ちとお覚悟があってのことだったろう。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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