先日、気の置けない仲間三人で焼き鳥で一杯やって、話の流れで、ラーメン屋でビールを飲むか、ということになった。入った店には先客が五人ほど。店の従業員四人が、腕組みしたりなんかして、うれしくなさそうに「らっしゃい」と迎えた。「ビール二本と餃子二人前」と大声で注文すると、これまたテンション低く、調理場に向かって「餃子二枚」と伝える。うれしくない、という態度ありあり。
まあ確かに、チャーシューとシナチクをそれぞれ一人前ずつ注文し、「ビール、もう一本」だから、お店にとっては長居してもらいたくない客でしょうよ、その辺は三人も自覚している。それにしても、そのチャーシューとシナチクを運んで来たときにさ、「お待ちどうさま」も言わずに、放り出すように置いてとっとと行っちゃうというのもいかがなものか。もう少し柔らかな接客態度というものがあってしかるべきではないの。
しかも、こちら三人のうちの一人は、この店のラーメンが好きで、ちょくちょく通っている、メニューを熟知している、いわば准常連みたいな人間よ。だから、多少人相が良くない二人が一緒であっても、店に危害を及ぼすグループではない、という判断を店側としては下せるはずではないの。ラーメンを食べずに、ビールとチャーシューとシナチクを注文されるのは面白くないと言うなら、メニューに書くな、まったく、などと語り合いつつ、最後に店で一番安い、具が何も載っていない「かけラーメン」を注文した。運ばれて来たラーメンに、皿に残っていたチャーシューとシナチクを載せて食べた。以前食べたときにはスープがぬるかった記憶があるのだが、客が少ない時間帯のせいなのか、熱々で、意外に美味であった。さすが、旭川を代表するブランドの一つ、という味ではあった。
ただ、会計をして店を出るときも、一貫してうれしくなさそうな、テンションの低い声で、客の方を見もしないで、「ありあとござい…」だった。
(工藤 稔)
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