内閣法制局長官は戦後一貫して「憲法の番人」だと言われてきた。安倍政権が誕生するまでは。憲法の効力を解釈変更によって陳腐化しようとする安倍晋三首相の下では、憲法の番人もまた陳腐化せざるを得ない。二十日付朝日新聞一面の記事を引用する。

 ――政府の憲法解釈を担当する横畠裕介・内閣法制局長官は19日、安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、国際法上の集団的自衛権と、安倍内閣が主張する「限定的」な集団的自衛権の違いを「フグ」に例え、「毒があるから全部食べたらそれはあたるが、肝を外せば食べられる」と答弁した。

 他国防衛を目的とする包括的な集団的自衛権は違憲となる一方、「限定的」な集団的自衛権なら合憲という趣旨だが、厳密な法解釈を行う立場の法制局長官が、こうした例え話を持ち出すのは異例。法案への理解が広がらない現状の裏返しと言えそうだが、長官経験者からは「好ましくない」との批判も出ている。

 民主党の寺田学氏が、政府がこれまで集団的自衛権の行使を違憲としながら、憲法解釈を変更し、「限定的」なものとして容認したことについて、「腐ったみそ汁の中で1杯とっても、腐っているものは腐っている」とただした。

 横畠氏は「例え話をされたので」と切り出し、「(集団的自衛権が)毒キノコだとすれば、煮ても焼いても食えないし、一部をかじってもあたる」と答弁。さらに、「じゃあフグかもしれない」と続けた。(後略、引用終わり)

 

(工藤 稔)

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