そうか、まずは、これが見返りなのね、と納得した。なんとも、分かりやすい構図ではないの。三日付朝日新聞の一面に、「特許 無条件で会社のもの」「社員の発明 政府、方針固める」という見出しの記事が載った。そのリード部分を引用すると――
政府は、社員が仕事で発明した特許を「社員のもの」とする特許法の規定を改め、無条件で「会社のもの」とする方針を固めた。これまでは、十分な報償金を社員に支払うことを条件にする方向だったが、経済界の強い要望を踏まえ、こうした条件もなくす。企業に有利な制度に改まることになり、研究職の社員や労働団体は反発しそうだ。(引用終わり)
現在の特許法では、社員の発明の意欲を高めるために、仕事で発明した特許は「社員のもの」で、会社は発明に見合った対価を払って特許を譲ってもらう必要がある。その対価を巡る訴訟が相次いだため、企業側から「会社のもの」にしたいという声が上がっていた。政府は当初、「社員のもの」の原則を残しながら、十分な報奨金を支払う仕組みがある企業に限って「会社のもの」にできる特例を設ける改正方針を示していた。だが、企業側の反発を受け一転、一律に最初から「会社のもの」にすると方針を変えた。
このニュースと相前後して、テレビや新聞が「経団連が五年ぶりに政治献金を再開する」と伝えた。経団連とは日本経済団体連合会の略称。東商一部上場の企業、つまり大企業を中心に構成する経済団体だ。その会長、榊原定征・東レ会長は安倍政権との密着の度を急速に深めていると伝えられる。六日には、経済財政諮問会議(議長・安倍首相)の民間議員として、経団連会長としては六年ぶりに榊原氏が任命されると報じられた。
(工藤 稔)
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