どうなっちゃってるんだろう。この国の民は「アホ」になったのか、つまり「一億総白痴化」が現実のものとなった証なのか、と心底困惑した。

 今月七日付の朝日新聞と読売新聞は、それぞれ「世論調査」の結果を一面で発表した。見出しは、「来年4月に消費税8% 首相判断『評価』51%」(朝日)、「消費税『評価』53%」(読売)で、ともに半数以上が安倍晋三首相が来年四月に消費税を八%に引き上げると決めたことを「評価する」と答えたと報じている。ちなみに「評価しない」は、読売が四一%、朝日は三八%。

 ここまでは、私も、日本人というのは、何と従順な、物分りの良い、共助の精神に満ちた、太っ腹な国民なのだなぁと改めて感心すると同時に、よその国の方々の目には「税金が増えることを歓迎するなんて、日本はよほど豊かな国で、国民は皆裕福なのね」と映るんだろうなぁと呆れたりした。ところが、その調査結果を詳しく見ると…。

 景気の回復を「実感している」一五%、「実感していない」七九%(読売)、東日本大震災の復興費用に充てている復興特別法人税を一年前倒しして廃止する方針に「賛成」二七%、「反対」五六%(朝日)。消費税引き上げに伴う景気対策で賃上げにつながるか「つながると思う」二二%、「そうは思わない」六七%(読売)。消費税八%への引き上げが社会保障の安定に「役立つと思う」三九%、「そうは思わない」四七%。

 要するに、アンケートに答えた圧倒的多数の国民は、消費税が増税されても良いことはない、と考えているにもかかわらず、増税を「評価する」としているのだ。

(工藤 稔)

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