「経営者のためのM&Aセミナー」が四月二十四日、旭川商工会議所二階大ホールで開かれた。会場は市内の経済人ら約二百人で満員となり、関心の高さをうかがわせた。

 セミナーでは「企業の存続と発展を実現させるM&A(企業の買収・合併)とは」と題して、日本M&Aセンターの三宅卓社長が講演。後継者不在や先行き不安から売り手企業が増加傾向にあること、M&A成功のポイントと実務手順、そして秘密保持が最も大事であることなどを解説した。

 次に、酒井鋼材の酒井孝社長と小城会計事務所の小城公明代表との対談がおこなわれ、M&Aで発生する具体的な事例が発表された。

 酒井鋼材は二年前に、市内の仲山鋼材を買収した。酒井社長はその理由について「鉄鋼業界のマーケットが年々縮小しており危機感があった。売上確保のため買収を決意した。幸い、二社の得意先と仕入先とが異なっていたことがM&Aがスムーズに進んだ要因」と説明した。

 小城代表は「道内企業の後継者不在が七一%に達している。今後、団塊の世代のリタイアが相次いだ時、後継者がいるいないかが、M&Aをおこなう時に大きな要素となる」と指摘。酒井社長は「後継者の息子がいたことで、M&Aを決意できた」と答えた。

 最も重要とされている秘密保持について、「決して信用していなかったわけではないが、財務を担当していた妻にも、買収の話は一切しなかった」と内輪話を披露した。また、「時流を的確に把握し、時流に乗り遅れず、将来に向けて次の手を打っていただきいたい」と若い経営者たちにアドバイスしていた。