今号六面に載っている、津川エリコさんのコラム「あいるらんどから あれこれ」の原稿をメールで送っていただくときに、短い手紙が添付されていたり、受け取った私が、お礼のメールを差し上げるときに、簡単な近況報告をしたり、やり取りがある。今回の原稿のテーマは、私たちにはあまり馴染みのない「カード」だった。で、私が米国の大統領選挙の結果について触れたメールを差し上げたところ、以下のような返事が来た。

 ――いよいよ根雪ですか。
 こちらも予報では、今日、ちょっと雪が降るかもということ、楽しみ! にしているのですがまだです。
 工藤さんの気を重くする雪ですが、私の旭川の思い出はひたすら雪があるばかり。
 帽子、マフラー、手袋と完全武装して寒い中に出て行くのが好きでした。
 トランプの勝利には腰を抜かしました。しかも大差でしたね。トニーがカマラ・ハリスは一度も貧しい人に語りかけなかった、彼らは完全に無視されたように感じ、抵抗としてトランプに票を投じたと言いました。
 息子は、人は表向きに人間としての理想的態度を示したり、口では理想を話すが、(貧しい人や移民に対する同情などの)、本音は隠されて、その隠された本音(貧しい人や移民は国の負担等々の否定的な気持ち)が選挙結果には出たという感想でした。
 アメリカのある州で、不法移民の取り締まりを厳しくし、不法移民を雇った会社を罰することが決まりました。すると桃を収穫する人がいなくなり、桃は地に落ちて腐ったというニュースでした。
 移民を利用してきたのは資本家でした。安く雇って長時間働かせて、その分、自分たちに法外な利益を上げてくれる、便利な存在です。
 行き過ぎた資本主義と、専制国家が世界を揺るがしていますね。もし専制君主が何らかの形で退場を迫られたら、彼らは、核兵器を使い地球を道連れにするでしょう。
 SF小説は読まないのですが、私の小さな頭でもそんな風に想像しないではいられないです。
 まずは今日一日を生きます。この頃は、鍋をかけたまま、別のことをして、焦がすことがとても頻繁に…。二つのことを同時進行、出来なくなりました。一つ一つやります。工藤さんもお元気で。(引用終わり)

 津川さんのことは小欄で何度も書いたが、改めて軽くプロフィールを紹介すると…。

 一九四九年、釧路市の生まれ。実父の死で、母親が再婚して十一歳のときに旭川に移り住む。旭川東高では、『小熊秀雄論考』の著者・佐藤喜一さん(一九一一―九二)に国語を習った。その頃に詩を書き始めたそうだ。道教育大旭川校を卒業し、上京して日本語教師などを経て、四十歳のときにアイルランドに移住。現地の男性と結婚、一児の母である。二〇二二年、『雨の合間』(デザインエッグ)」で第五十五回小熊秀雄賞。同年、小説『オニ』(『北の文学二〇二二』所収)で北海道新聞文学賞受賞。著書に詩集『アイルランドの風の花嫁』(金星堂)、随筆集『病む木』(デザインエッグ)がある。

 小熊秀雄賞を受賞した『雨の合間』はネットを通じた自費出版のスタイルで“絶版”みたいになっていたのを、地元の出版社・ミツイパブリッシングがクラウドファンディングに挑戦して成功し、今春、全国の書店に並ぶことになった…。

 なんだか話がずれて来たぞー。トランプのことに話を戻そう。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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