市は本年度の「旭川市文化賞」の受賞者を発表した。最高賞の文化賞は、創作人形作家の宮竹眞澄さん(74)に、文化功労賞は、裏千家淡交会の茶道家の塩野谷恒也さん(88)に、文化奨励賞は、日本現代舞踊徳本流家元の徳本禄智寿(ろくともじゅ)さん(51)にそれぞれ贈られる。

 文化賞は、市の文化の発展に大きく貢献した個人または団体に贈られる。

 宮竹さんは、創作人形作家として唯一無二の作風を作り上げ、展覧会では様々な地域に生きる人々や生活の情景を映し出した作品で、訪れる多くの人に深い感銘を与えているなどの功績が評価された。

 宮竹さんは「夫婦二人で、決して派手ではない、身近な題材をテーマに人形を作ってきました。歴史ある文化賞をいただき、びっくりしたと同時にありがたく思います。自分の好きなものを作ってきたからこそ続けて来られました。年齢を意識せず、これからも人形作りを続けていきたい」と受賞の感想を述べた。

 文化功労賞は、二十年以上の活動実績があり、表彰に値する事績を残したと認められる個人または団体に贈られる。

 塩野谷さんは、裏千家淡交会の茶道家として市内で長年活動。後進の育成指導に尽力しているほか、流派を超えて男性の茶道愛好家が集う霜月会やドイツの人々を招待した茶会の開催を続けるなど、旭川市の茶道の振興と発展に寄与してきた。

 塩野谷さんは「落ち着きがない自分のためにと母に勧められ、茶道を始めました。教えは大変厳しく、その教えがあったからこそ今日があるのだと思います。全国でも珍しい男性だけの茶会や、ドイツの人々に日本文化を知ってもらうための茶会を続けてきました。大きな賞をいただけてうれしいです」と感慨深げに語った。

 文化奨励賞は、市の文化の発展に貢献し、今後の活動が期待される個人または団体に贈られる。

 徳本さんは、日本現代舞踊徳本流の二代目家元として活動し、市内の教室や国内外各地で舞踊や振付の指導を行っている。加えて、古典のみならず様々なジャンルの音楽に振付・演出を考案した舞台を披露していることなどが高く評価され、今後一層の活躍が期待されている。

 徳本さんは、「立派な賞をいただけてうれしい」と感想を述べ、「今はITの時代で、オンラインで教えることもできますが、やはり心までは伝えきれません。感情がこもった踊りができるよう指導に気をつけています」と自身の指導法について話した。

 贈呈式は十一月三日(日・祝)午前十一時から、大雪クリスタルホールで行われ、賞状と賞金(文化賞/十万円、功労賞・奨励賞/各五万円)が贈られる。(岡本成史)