谷口農場(谷口威裕社長、東旭川町共栄二五五)が今年度、有機米の生産を目指した取り組みをスタートさせた。

 同社はこれまで、化学的なものに頼らず、米ぬかや牛糞、カキ貝がらなどをブレンドした、こだわりの土で育てられるオーガニックトマトのほか、農薬の使用量を減らした特別栽培米などを生産し、全国から多くのファンを集めている。

 特別栽培米は、農薬の代わりに松ヤニ・もみ酢などで害虫を防ぎ、ケイ酸・漢方薬で病気にかかりにくい丈夫な稲に育て、さらに、カツオ・マグロから作ったアミノ酸エキスや、ミネラルが豊富な天然にがりなどを散布。体と環境に優しいだけでなく、おいしいコメづくりに力を入れてきた。

 有機米生産も、以前から社内で声があがっていた。二〇二三年、道が主催する「食絶景北海道×ゼロカーボンアワード」で、同社が生産・販売するトマトジュース「ゆうきくん」が優秀賞を受賞したことで、ゼロカーボンへの意識がより高まり、本格的に有機米の生産を進めることになった。
 有機農法による栽培は、生産過程で二酸化炭素(CO2)を排出する化学農薬・肥料を使用しないことに加え、圃場に投入する有機物に含まれる炭素の一部が分解されにくい腐食物質で土壌に蓄積され、CO2の吸収源として機能するため、結果的に大気中のCO2削減につながるという。

 同社営業部の髙橋しらべさんは「当社ではこれまでもCO2排出量を数値化して、前年を下回るように常に意識してきました。有機米の栽培によってCO2の削減にさらに貢献したい。最近の高温で生育が少し早まりましたが、今のところ順調に来ています。あとは今月の収穫まで、大きなトラブルが起こらないことを祈るばかりです」と話す。

 有機で栽培するコメの品種は「ゆめぴりか」のみで、初年度の収量は二十㌧を見込む。今月中に収穫し、九月中旬に同社の直売店「まっかなトマト」で販売されるほか、オンラインショップ(https://www.taniguchifarm.net/)で、現在予約を受け付けている。

 有機の認証を得るには三年間の転換期間が設けられているため、四年目から正式に「有機」として認証される。

 同社は、今年十二月に有機JAS認証(転換期間中)を取得予定のため、それまでは「特別栽培米 節減対象農薬栽培期間中不使用、化学肥料栽培期間中不使用」として販売するという。(東寛樹)