十月五、六日の両日に開催される「障害児の高校進学を実現する全国集会in旭川」を前に、障がいを持つ若い人たちらから話を聞く会が二十一日、市民活動交流センター(宮前一ノ三)で行われた。

 十五回目を迎えるこの大会は二年に一回開催されており、北海道では初めて開かれる。「どんな障がいがあっても、すべての子どもが、その子の希望する地域の高校で学べるよう、インクルーシブ教育をどのように実現していくか」を、全国から集まった参加者と議論を深める目的。

 三人の若者がパネラーとなり、体験や思いを発言した。

 渡邊葉月さんは地域の中学校に通う。八歳の時、首の脊髄中に腫瘍ができる「毛陽細胞性星細胞腫」を発症。口で筆を使い絵を描き、絵本の出版もある。

 小野寺椋大さんは二〇〇四年生まれ。重度の知的障害と自閉症の平田カズキ君と中学校の三年間同じクラスで過ごす。現在、旭医大看護学部で学び、看護師を目指している。

 瀧谷健人さんは一九九六年生れ。脳性マヒで車椅子生活を送る。相談員を目指し、大学に進学。心理カウンセラーの資格を取得し、市内の医療機関に勤務。

 司会役の同集会実行委員会委員長を努める佐藤祐さんから、「学校生活で楽しかったこと、辛かったこと」「こんな学校になってほしいと思っていること」「将来の夢」などについて聞かれた。

 渡邊さんは、小学二年生までは地元の学校に通ったが、その後、体調不良となり、五年生から養護学校に。現在は地元の中学校に通っていると話し、「辛いこともあるが、皆と一緒に勉強したり、話し合ったり楽しいことも一杯ある。今の学校はバリアフリーになっているが、高校はバリアフリーになっていないところがほとんど。バリアフリー化してもらいたい」と希望を話した。

 小野寺さんは「カズと一緒にいたことで、相手のことを考える思考をするようになった。今、形だけ特別支援教育を廃止しても、インクルーシブ教育ができるとは思わない。インクルーシブ教育という言葉がなくなって初めて、インクルーシブ教育が実現できたことになる」と、カズキ君と過ごした体験をもとに話した。

 瀧谷さんは小中高と普通学級で過ごした。「高校進学の時、先生に『将来のため』と寄宿舎付きの養護学校への進学を強引に進められたが、私立高校に進んだ。地元の大学に入り、病院のソーシャルワーカーに接するうち、私もこんな仕事に就きたいと思い、心理カウンセラーの資格を取った。将来はインクルーシブ教育関連の相談員になりたい」と希望を語った。

 札幌からの参加者など、約四十人が熱心に耳を傾けた。(佐久間和久)