三日付朝日新聞二面の三段見出し。「敦賀2号機 再稼働不許可へ」「規制委 活断層 審査継続認めず」。以下、本文を引用する。
――原子力規制委員会は二日、日本原子力発電敦賀原発二号機(福井県)の再稼働に向けた申請について、初の不許可とする手続きに入った。先月末に原子炉建屋直下に活断層がある可能性が否定できず、原発の安全対策を定めた新規制基準に適合しないと結論づけていた。原電は審査継続を求めていたが、これまでの審査結果で判断する。
規制委はこの日、原電の村松衛社長から意見を聴取した。村松社長は一年以上かけて追加調査を行う方針で、具体的な計画は二カ月後に示すと説明したが、規制委は「何の見通しにもなっていない」「具体性に乏しい」と指摘した。(中略)
規制委は今月下旬にも審査書案を了承し、三十日間の意見公募をしたうえで、十月以降に正式に不許可にするとみられる。(後略・引用終わり)
補足として、毎日新聞デジタルの二日配信の記事を。
――(前略)原電は二号機を廃炉にせず、審査の再申請も辞さない方針だが、規制委の判断を覆すのは難しいとみられる。経営改善の柱である二号機の再稼働は絶望的で、原電は存亡の瀬戸際に追い込まれる。原発回帰を進める国のエネルギー政策にも影響を及ぼす可能性がある。
二号機を巡っては、規制委の有識者調査団が二〇一三年、原子炉直下に活断層があるとする報告書をまとめ、規制委が一五年に受理した。
規制委は、原電が二号機の再稼働を目指して一五年に申請した審査で、この断層が活断層に該当するかを改めて確認してきた。しかし、原電による審査資料の約八十カ所の無断書き換えや約千三百カ所に及ぶ誤記が発覚し、審査は二回中断。規制委は、原電が昨年八月に出し直した申請書で最終判断すると「最後通告」した上で、審査を再開していた。(引用終わり)
二〇一一年三月の東日本大震災による東京電力福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)や水素爆発による放射性物質の広範囲にわたる飛散、汚染の被害は、事故から十三年を経過したいまも、そして未来永劫続く。食いしん坊の家人は、六月、七月のモモが出回る時季になると必ず言う。「福島の、あの美味しいモモを食べられなくした原発は許さないわ」と。
「原発の発電コストは安い」――三 ・ 一一の過酷事故が起こる前、国も原発推進論者も口を合わせて、こう主張した。一㌔ワット時の電力をつくるのに、水力は十二円、石油は十一円なのに、原子力は半分の五円だ。この傑出した「経済性」は、ウラン燃料は比較的入手しやすい、燃料がリサイクルできる、CO2を排出しないと並ぶ、原子力発電の「四大美点」だった。
しかし、原発の「安全神話」が東電福島第一原発の事故で一瞬にして吹っ飛んだのと同時に、その「安価神話」もウソだったことが露呈する。発電コストの計算自体が原発の発電コストを安く見せるために偽装されていることが様々な研究で明らかになっている。
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(工藤 稔)
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