東海大学名誉教授で建築家の大矢二郎さん(80)が、間もなく解体工事が始められる予定の旧旭川市総合庁舎(愛称・赤レンガ庁舎)の解体を止めるよう求める「仮差止め請求」を旭川地方裁判所に提訴した。その訴訟の第一回口頭弁論が今月十六日午後二時三十分から、旭川地方裁判所(市内花咲町四)で開かれる。

 行きがかりというか、私も七人の原告団に名を連ねている。裁判の当事者になるのは、はるか昔、若かりし頃、速度違反で略式命令を受けて以来である。心して大矢先生の足を引っ張らないよう心がけたいと思っている。

 六月二十四日に閉会した市議会第二回定例会で、金谷美奈子議員(無党派G)が、赤レンガ庁舎の解体工事について質問した。解体費用が当初予定の四・五億円から七・三億円に増額された理由などを質した後、「市民複数名から、工事の差し止め訴訟が提起されたとの報道があったが、訴訟の内容はどのようなものか」と質疑した。和田英邦・総務部長の答弁は。

 ――(訴訟代理人からの通知書によると)旧総合庁舎解体の理由とされている耐震性の不足について、合理的根拠がなく、歴史的・文化的・学術的価値を有する旧総合庁舎を解体することは、市の裁量権の範囲を超え、もしくはその濫用が認められることは明らかであることから、解体等の中止を求める旨が記されていたところであります。

 金谷議員は、「解体工事の予算が議会で可決された場合、訴訟が起こされている中で予定通り七月に解体工事に入るのか」と質問した。和田部長は。

 ――議会における予算審議等一定の手続きを踏みながら、ここまで進めてきておりますので、裁判所から行政事件訴訟法における仮の差し止め命令の決定等がなされていない現状においては、議決いただいた後、速やかに本契約の手続きを行った上で、予定どおり七月から工事を進めていく考えであります。

 六月二十八日付北海道新聞は、地域面で「旧市庁舎の記憶 れんがで残そう」の見出しで、市が赤レンガ庁舎の歴史や記憶を伝えようと、旧庁舎に使われていたレンガを市民限定五百人に無料で配ると報じた。縦八㌢、横二十三㌢、厚さ三㌢ほどに切り出し、市の記章を印字して専用の箱に入れて配るんだと。

 悪いけど、「ケッ」と思う。建物は使われてナンボだ。数年前に亡くなった元東海大の先生が、「旧庁舎の一部をモニュメントとして残したら良い」とご高説をぶつのを聞いたことがあるが、それと同じレベルのお遊びだ。燃やせないゴミを増やすのがオチだな。

 小欄で何回も書いているから詳細は省くが、市が赤レンガ庁舎の解体撤去の理由としているのは、老朽化と耐震性の不足だ。大矢先生は訴状で赤レンガ庁舎の歴史的、文化的、学術的価値を様々な角度から検証し、耐震性については、市が拠り所としている「竣功図」についての欺瞞を指摘して、専門家としての知見を駆使しながら市役所の虚偽を暴き、次のように訴える。

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

(工藤 稔)

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